大和十津川の民家について

次に大和十津川の民家の特徴について論じる。大和十津川は奈良県と和歌山県の県境の吉野紀伊山地の中にある。これらの地域では山の斜面を削って家が建てられた。この民家は、部屋が横に細長く一列に並ぶ間取りになっている。吉野は杉の産地だったので、薄く削った杉皮や杉板が屋根に用いられている。台風の多い地域で、雨が多く母屋には風呂と便所が取り付いていて、母屋の横には蔵が建てられている。この地域の風土においてだが、村のほぼ中央を南北に十津川が流れている。和歌山東に大嶺山脈、西に伯母子山地がのび、大嶺山脈は海抜1500m以上の山脈が連なっている。山頂には原始林が残り、吉野熊野国立公園の一部となっている。十津川村内にも、高度1000m前後の山地が多く、集落は山の斜面にへばりつくように低地から高地へと広がっている。太平洋から湿度の高い気流が山岳地に流れ込むことから、この地域は日本最大の多雨地域で、年間降水量は3000mmに達している。そのため、民家も土蔵以外の建物はすべて板壁とされ、丸田家住宅では、土蔵の壁も大部分を板で囲むつくりとなっている。
生業としては、焼き畑農業でヒエやアワ等が栽培され、江戸時代頃には大規模な杉の植林は行われるようになり、十津川の流れをいかして、伐採した杉材を筏に組んで現在の和歌山県新宮市の河口まで流し、船で江戸や大坂へ運んでいた。また、十津川には温泉が多く、村のほぼ中央に湯泉地・上湯・十津川温泉がある。